雑学

「どうして猫はいつも足から落ちるのか?」を徹底解説!

漫画や動画サイトなどでおなじみ、「空中でくるりと体勢を変えて足から着地する猫」。
見ているとまるでマジックのようですが、実はこの“不思議パワー”にはしっかりとした物理・生物学的背景があります。
今回は、なぜ猫はいつも足から落ちるのか? そのメカニズムと面白さを、ちょっぴりユーモラスな視点でご紹介します。

1. 猫は“空中でバク転”ができる?

猫が宙を舞うとき、四肢をバタバタさせているように見えますが、実は背骨の柔軟性を活かし、身体を器用にひねって回転させています。

  1. 頭と前足を回転させる
    最初に首や上半身を先行して回転させ、「まず頭と前足が床に向くように」向きを変えます。
  2. 後ろ足を追従させる
    続いて、身体のひねりを後ろ半分に伝えて下半身を回転。全身の回転軸がずれないように巧みにバランスを取っていきます。

ポイントは、身体の前半分と後ろ半分を別々に回転させる能力を持っていること。
背骨が非常に柔らかく関節の可動域が大きいからこそ、こうした“空中バク転”が可能になるのです。

2. 空中で軸がなくても回転できるワケ

「地上ならともかく、空中では回転するための支点がないのに、どうやってひねるの?」という疑問もわきますね。
これは角運動量保存の法則など物理学の視点で説明可能です。

  • 小さな回転を逆向きに行う
    猫は上半身と下半身でそれぞれ逆方向の回転を起こすことで、全体の角運動量がゼロのままでも軸なしで体勢を変えられます。
  • 空中でも自分の身体を分割して回す
    いわば“自前の回転軸”を身体の内側に作るイメージです。
    上半身と下半身の回転方向やスピードを調整して、最終的に足を下に向けるようにしているわけです。

3. 19世紀から興味津々! 高速撮影で解明された猫の秘密

「猫はいつも足から着地する」現象は、実は19世紀末にも大きな注目を集めていました。
フランスの物理学者・生理学者であるエティエンヌ=ジュール・マレー(Étienne-Jules Marey)は、高速撮影の技術を用いて宙を舞う猫の動きを撮影。その連続写真を分析することで、「空中での回転が決して“オカルト”ではなく、身体の構造と物理法則で説明可能」であることを示したのです。
当時の科学界では「落下の瞬間、猫は何をしているのか?」が謎だったそう。
しかしマレーの実験と高速撮影は、その謎解きの第一歩となりました。

4. ただし“必ず無傷”とは限らない

猫は驚くほど華麗に足から着地を決めますが、落下の仕方や高さによってはケガをすることもあります。
とくに低い場所から落ちた場合、十分な回転時間が確保できず、背中や横腹からドスンと落ちてしまうこともあるのです。

逆に、ある程度高い位置(数メートル以上)から落下すると、回転して姿勢を整える時間が稼げるため、着地体勢を取りやすくなるという例も報告されています。
もっとも、高すぎる場所から落ちれば安全とは限りませんから、結局は落下はできるだけしないほうが良いのは言うまでもありません。

5. 猫の“右ing reflex(ライティング・リフレックス)”とは?

専門的には、猫が空中で体勢を整えて足から着地する一連の動きを「Righting Reflex(ライティング・リフレックス)」と呼びます。

  • 耳の内耳にある平衡感覚
  • 視覚から得られる空間認識
  • 背骨や筋肉の柔軟性

これらが総動員され、見事に姿勢を制御しているのです。
猫の身体能力が垣間見える、まさに“生きたエアロバティック”とも言えますね。

まとめ

猫がいつも足から落ちる理由は、背骨の柔軟性と巧みなバランス感覚、さらに物理学のエッセンスが相まって生まれた“華麗なる回転芸”にあります。

  • 背骨の可動域
  • 上半身と下半身を別々に回す運動
  • 角運動量保存の法則による空中での回転

これらがうまく組み合わさることで、私たち人間には考えられないような機敏さを発揮できるのです。
もっとも、どんなに器用な猫でも落下の高さや状況次第ではケガのリスクがあるため、万が一の高所落下には要注意。
猫の“足から落ちる奇跡”は確かにすごいものですが、そもそも高いところから落ちてしまわないよう、彼らの安全を守ってあげるのが大切ですね。

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