ビットコイン(BTC)は、世界初の暗号資産(仮想通貨)として2009年に始まり、2025年現在で誕生から16年を迎えました。
中央銀行や政府などの管理者が存在せず、ブロックチェーンと呼ばれる分散型台帳技術を使って個人間で直接取引ができるという革新的な仕組みを持つビットコインは、今や“デジタルゴールド”と呼ばれるほど世界的に注目されています。
ここでは、ビットコインの誕生から現在に至るまでの大きな出来事を年表形式で振り返り、その歴史と成長の過程を分かりやすく解説します。
目次
ビットコインの概要
ビットコインは、サトシ・ナカモトという謎の人物(またはグループ)によって2008年10月末に発表されたホワイトペーパーから始まりました。
翌年の2009年1月3日に採掘(マイニング)されたジェネシスブロック(第1ブロック)により、実際の稼働がスタートしたとされています。
中央集権的な管理者を持たないため、銀行のように一極に依存することがなく、ユーザー同士が相互に監視・検証し合う「分散型の通貨」として高い信頼性とセキュリティを実現しました。
- 開始年:2009年1月
- 発行上限:21,000,000 BTC
- コンセンサスアルゴリズム:プルーフ・オブ・ワーク(PoW)
- 時価総額(2025年1月時点):暗号資産の中で1位
ビットコイン誕生からの年表
2009年
- 1月3日:ジェネシスブロックが生成される
リーマンショックによる金融不安が高まる中、サトシ・ナカモトが「Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System」と題した論文を公開。これに基づき、最初のブロックが誕生しました。 - 1月12日:世界初のビットコイン送金
サトシ・ナカモトからHal Finney(主要開発者)へ50BTCの送金が行われ、手数料は0BTCという画期的な取引が成立します。
2010年
- 5月22日:ビットコイン・ピザデー
米国のプログラマーが10,000BTCでピザ2枚を購入したことがビットコイン初の商取引となり、毎年5月22日は「ビットコイン・ピザデー」と呼ばれます。 - 7月:マウントゴックス(Mt.Gox)の取引所サービス開始
ビットコインを取り扱う世界初の取引所の一つとして注目され、取引量が急拡大していきました。
2011年
- 4月:メディアの特集を機に知名度拡大
タイムズ誌などで報道されてビットコインが広く知られるようになり、価格が一時31ドル(約3,100円)まで急騰。 - 6月:マウントゴックスがハッキング被害
世界最大のビットコイン取引所だったマウントゴックスがサイバー攻撃を受け、ビットコインのセキュリティに対する懸念が高まりました。
2012年
- 11月:初の半減期を迎え、ブロック報酬が50BTC→25BTCに
ビットコインの発行量が徐々に減少していく仕組みが初めて実行され、市場の希少性を高める要因となりました。 - 日本国内でコインチェック(Coincheck)などの取引所が創業し、国内でも徐々に利用者が増加していきます。
2013年
- 3月:キプロス危機によりビットコインが注目
キプロスの金融危機を機に、資産避難先としてビットコインが買われ、欧米や中国の富裕層を中心に需要が拡大。 - 12月:NHKなど日本のメディアでも特集が組まれ、価格が大幅上昇
一時1BTC=数十万円まで駆け上り、世界的に「仮想通貨バブル」の様相を帯びはじめました。
2014年
- 2月:マウントゴックス事件
世界最大手のビットコイン取引所がハッキング被害により多額のBTCを流出。
破綻に追い込まれ、仮想通貨の信頼性が大きく揺らぎました。 - 12月:米マイクロソフトがビットコイン決済を開始
大手IT企業が採用を表明したことで再び投資家の注目が集まりました。
2015年
- 5月:「BitLicense」導入(米ニューヨーク州)
暗号資産の本格的な規制が開始され、世界的にも法整備の流れが加速。 - 欧州司法裁判所がビットコインは付加価値税(VAT)の非課税対象と判断し、法的位置付けが徐々に明確化しました。
2016年
- 7月:2度目の半減期(25BTC→12.5BTC)
採掘報酬がさらに減り、ビットコインの希少性が一段と増したことが価格上昇の材料に。 - 日本で改正資金決済法が成立
ビットコインをはじめとする仮想通貨の定義を世界に先駆けて明確化し、国内でも安心して利用できる基盤が整備されはじめました。
2017年
- 4月:改正資金決済法の施行
仮想通貨交換業者の登録制が始まり、日本でのビットコイン需要が急拡大。 - 8月:ビットコインキャッシュのハードフォーク
スケーラビリティ問題を巡る意見対立から、新たな通貨「ビットコインキャッシュ(BCH)」が誕生。 - ICOブームによりビットコインやアルトコインの価格が高騰し、年末にはBTCが200万円超を記録するバブル相場となりました。
2018年
- 1月:コインチェックNEM流出事件
国内取引所コインチェックがハッキング被害を受けるなど、相次ぐ不祥事で「仮想通貨の冬」と呼ばれる下落相場に突入。 - 各国の規制強化に伴い、ビットコインは最高値から大幅に値を下げ、投資家のリスク回避が進む1年でした。
2019年
- 3月:日本で暗号資産への呼称変更が法案化
金融商品取引法および資金決済法の改正で、仮想通貨は「暗号資産」として法的に整備される流れが本格化。 - 6月:BTC価格が約150万円まで回復
世界的な政治・経済の混乱を背景に、再び資金が流入しはじめました。
2020年
- 5月:3度目の半減期(12.5BTC→6.25BTC)
産出量がさらに減少して、希少性が評価されるとともに、コロナ禍による金融緩和の影響も重なり価格が上昇。 - 10月:米ペイパルがビットコイン売買サービスを導入
大手決済企業の参入をきっかけに機関投資家が積極的に市場入りし、ビットコインは再び過去最高値を更新。
2021年
- 2月:米テスラがビットコインを大量購入し、一部自社商品にBTC決済を導入
CEOイーロン・マスク氏の影響力もあり、BTC価格はさらに上昇。 - 10月:米SECがビットコイン先物ETFを初承認
アメリカでの金融商品として地位が高まり、11月にはBTCが過去最高値を大きく塗り替えた。 - エルサルバドルでビットコインが法定通貨に採用された年として歴史に名を刻む。
2022年
- 5月:テラ(LUNA)崩壊による暗号資産市場の連鎖破綻
大手ファンドや貸借サービスなどが相次ぎ破綻し、ビットコイン価格も急落。 - 11月:取引所FTXグループ破綻
大手事業者の倒産により市場への不信感が拡大し、ビットコインは一時1万ドル台まで値を下げた。
2023年
- インフレや金融引き締めリスクが続く中、ビットコインは「デジタルゴールド」として買われ、年初から約155%の上昇を記録。
- ブラックロックやインベスコなど大手機関が相次いでビットコイン現物ETFを申請し、規制面で大きな動きが進展。
- グレイスケール裁判勝利やリップル裁判の影響などを受け、機関投資家の参入が加速する形となった。
2024年
- 1月:アメリカでビットコインの現物ETFが初めて承認
投資家の資金流入が急増し、3月にビットコインは円建てで1,000万円を突破。 - 4月:4度目の半減期を迎え、採掘報酬が6.25BTC→3.125BTCに
希少性をさらに高める要因となり、数ヶ月後の価格上昇につながった。 - 11月:米大統領選挙でドナルド・トランプ氏が再当選し、ビットコインを含む暗号資産への市場関心が急拡大。
- 12月:ビットコインが初めて10万ドル超(1BTC=約1,500万円)を記録。
ビットコインの特徴と将来性
ビットコインは、あらかじめ2100万BTCという発行上限が決められており、4年に1度の半減期を経るたびに新規発行量が減少する仕組みを持ちます。
この希少性から「デジタルゴールド」と呼ばれ、大口投資家や企業・機関投資家の需要が拡大する一因となっています。
また、2024年のアメリカ大統領選挙や米国での現物ETF承認により、ビットコインはさらなる資金流入が見込まれています。
一方で、価格のボラティリティや各国の規制リスクも存在するため、投資する際はリスク管理を徹底することが大切です。
まとめ
ビットコインは、2009年の誕生から16年の間に大きな成長を遂げ、今では暗号資産を代表する存在となりました。
多くの困難(ハッキング事件や規制強化など)を乗り越えながらも、その革新的な技術と分散型の仕組みによって「デジタルゴールド」としての地位を確立。
2024年の現物ETF承認や4度目の半減期、さらにトランプ氏再選を受けた需要増など、さまざまな要因から2025年以降もビットコインへの注目はさらに高まるでしょう。
今後も価格変動や規制には注意が必要ですが、ビットコインは世界的な金融システムや投資の在り方に変革をもたらす可能性を十分に秘めています。
誕生16周年を迎えたビットコインが、これから先の数年でどこまで進化を遂げるのか、引き続き大きな注目を集めています。