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老後の年金不足と「不動産投資」の注目度
「老後2,000万円問題」をきっかけに、多くの方が老後の生活費に不安を感じるようになりました。年金だけでは十分な生活費をまかなえず、ゆとりある老後を送るには追加の資産形成が欠かせません。その中で、家賃収入が期待できる「不動産投資」が注目を集めています。
不動産投資は、株式や投資信託などとは違い、比較的安定した収入が得られると言われています。しかも、家賃収入は勤労による給料とは異なるため、在職老齢年金の対象外です。つまり、年金と家賃収入を同時に得ることが可能なのが大きな強みです。
年金の現状と今後の見通し
公的年金の仕組みと少子高齢化の影響
日本の公的年金制度は「賦課方式」を採用しており、現役世代の保険料が高齢世代の年金給付を支える仕組みです。しかし、少子高齢化の進行によって支える側(現役世代)の数は減り、支えられる側(高齢者)の数は増加しています。
たとえば、2050年には1.2人の現役世代で1人の高齢者を支える構造になると予測されており、社会保障の財政負担がますます重くなる見通しです。
年金支給額の減少リスク
少子高齢化が進むと、年金給付額の引き下げや、年金支給開始年齢のさらなる引き上げが検討される可能性も高まります。
実際に、マクロ経済スライドなどの仕組みを通じて、物価の上昇に対して年金額の伸びを抑制する措置がとられているため、年金の実質価値は徐々に目減りしているとも言えます。今後も同様の調整が続く場合、年金だけで老後を支えるのは一段と困難になるかもしれません。
老後2,000万円問題の再燃と物価高
2019年に話題になった「老後2,000万円問題」は、年金だけでは老後の生活費を十分にまかなえない現実を浮き彫りにしました。さらに近年はインフレ(物価高)の影響で、日常生活にかかる費用が増加しています。
物価上昇に対し、年金が同じ割合で上がるわけではないため、老後の生活資金が不足するリスクは以前よりも高まっていると言えます。
自助努力が不可欠な時代へ
このような状況下で、政府も私的年金やNISA、iDeCoなどの制度を拡充していますが、それだけで将来の不安が解消するかは不透明です。結果的に、早い段階からの資産形成や年金以外の収入源を確保することが、より重要視される時代になっています。
ここで注目されるのが、不動産投資です。長期的かつ比較的安定した家賃収入を確保しやすい不動産投資は、公的年金の不安を補う手段として、多くの方に検討されるようになっています。
不動産投資が老後資金対策に向いている理由
安定した家賃収入でインフレに強い
不動産投資の魅力は、何といっても家賃収入が毎月得られることです。入居者が長く住み続ければ、景気に大きな変動があっても家賃は比較的安定して確保できます。
さらに、現金や預貯金はインフレ時に価値が目減りしやすいのに対し、不動産のような現物資産はインフレに強いと考えられています。
将来の物価上昇を見据えても、定期的な収益を期待できる点は大きなメリットです。
不労所得としての魅力
物件の選定や購入手続きこそ必要ですが、購入後の管理業務は管理会社へ委託すればオーナーの負担は大幅に軽減できます。
会社員や公務員など、本業を持つ方でも労力を最小限に抑えながら運用できるのが特徴です。
老後に体力的な不安を抱えていても、自分が労働しなくても家賃収入が入り続ける可能性があるため、老後資金として期待する方が増えています。
節税効果のメリット
不動産投資では、ローンの利息や管理費、減価償却費などを経費として計上できます。場合によっては赤字申告となり、他の所得と相殺(損益通算)できる場合があります。
特に減価償却費は大きな節税効果が期待できるため、「実質は黒字でも、帳簿上は赤字」になることがある点は知っておくとよいでしょう。
ミドルリスク・ミドルリターン
株式投資やFXなどは「ハイリスク・ハイリターン」のイメージが強い一方、不動産投資は「ミドルリスク・ミドルリターン」と言われます。
需要が消滅しにくい「住まい」を扱うため、家賃相場が急激に下落する可能性が比較的低いのが要因です。ただし、空室リスクや災害リスクがゼロではないため、対策をしっかり行う必要があります。
老後の資金形成で意識したい「3つのリスク」
不動産投資で「不動産投資 年金」と検索する方が増えている一方、不動産投資=絶対安泰ではありません。
老後の資産形成に役立てるためには、以下3つのリスクを理解し、対策を講じることが大切です。
空室リスク
入居者が退去し、次の入居者が決まるまで家賃収入がゼロになるリスクです。
空室率の高いエリアを避ける、需要が見込める立地(駅近や大学・企業集積地)を選ぶなどの対策が重要になります。また、リフォームや設備充実で物件の魅力を高める工夫も空室リスクの抑制に繋がります。
家賃下落リスク
築年数の経過や周辺の新築物件増加によって、家賃を下げざるを得ないリスクがあります。
エリアの将来性を調査し、ライバル物件との差別化を図ることが家賃水準を保つポイントです。
金利上昇リスク
ローンを利用して投資を行う場合、金利が上昇すると返済額が増え、収支が悪化するおそれがあります。
自己資金を増やして借入額を抑える、低金利のうちに繰り上げ返済を検討するなどの戦略が有効です。
不動産投資で失敗しないためのポイント
基礎知識を身に付ける
不動産投資で失敗しないためには、まず投資リスクや仕組みを学ぶことが不可欠です。
空室リスク・家賃滞納リスク・修繕リスク・利回り計算など、基礎を押さえることで、物件選定やシミュレーションが適切に行えるようになります。
複数の物件・不動産会社を比較する
老後資金として考えるなら、長く安定して収入を得られる物件を選びたいものです。予算やローン返済計画に合った物件を探すためにも、複数の物件を見比べることが大切です。
また、不動産会社によって得意とするエリアやサポート体制はさまざま。
複数社に相談し、投資計画やリスク説明をしっかり受けることで、比較検討の幅が広がります。
資金計画をしっかり立てる
不動産投資は長期戦です。購入時だけでなく、運用中の管理費、修繕費、税金を含めた資金計画を立てましょう。
空室や家賃下落の可能性も考慮し、ローン返済に余裕をもたせることが重要です。
出口戦略を考える
不動産投資は「買って終わり」ではありません。老後資金として利用した後に「いつどのタイミングで売却・相続するか」あるいは「繰り上げ返済して完済物件にするか」など、投資の終わり方(出口戦略)も視野に入れておきましょう。
築年数が古くなると修繕コストが増えたり、売却価格が下がったりするため、長期的な視点でのスケジュールが重要です。
まとめ 早めに備えて、豊かな老後を実現しよう
「不動産投資 年金」や「不動産投資 老後」で情報収集する方が増えているのは、年金不足が現実味を帯びてきたからこそです。
毎月の家賃収入が得られる不動産投資は、老後の資産形成の一つの選択肢として十分に検討する価値があります。
ただし、投資にはリスクが伴うため、物件の選定・リスク管理・資金計画は慎重に行いましょう。
将来の年金受給額がどの程度になるか読みにくい時代だからこそ、早めの準備で老後の不安を軽減し、安定した生活を手に入れてみてはいかがでしょうか。
佐藤